Chapter 2: ターミナル入門
コマンドラインの基本操作を学ぶ
2.1 ターミナルとは(GUI と CLI の違い)
普段あなたがパソコンを操作するとき、マウスでアイコンをクリックしたり、ウィンドウをドラッグしたりしていると思います。これを GUI(グラフィカルユーザーインターフェース) といいます。
一方、ターミナル(コマンドライン) はテキストを「打ち込んで」コンピュータを操作する方法です。これを CLI(コマンドラインインターフェース) といいます。
なぜターミナルを学ぶのか?
「マウスでできるなら、わざわざ難しいターミナルを使わなくていいのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、ターミナルには大きなメリットがあります。
- 速い — 複数のファイルを一括操作するなど、マウスでは何十回もかかる操作を1行で完了できる
- 自動化できる — 毎日繰り返す作業をスクリプト(命令の集まり)にして自動化できる
- 開発に必須 — ほとんどの開発ツール(Git、Node.js、Pythonなど)はターミナルから使う
- サーバーにはGUIがない — 本番のサーバーはターミナルでしか操作できないことが多い
2.2 ターミナルを開く(Mac / Windows)
Mac の場合
方法1: Spotlight 検索(Command + Space)で「Terminal」または「ターミナル」と入力してEnter
方法2: Finder → アプリケーション → ユーティリティ → ターミナル
MacではZshという種類のシェル(ターミナルに命令を伝える仕組み)が標準で使われています。
Windows の場合
Windowsでは「WSL(Windows Subsystem for Linux)」を使うのがおすすめです。これはWindows上でLinux環境を動かす仕組みで、Mac・Linux と同じコマンドが使えます。
WSL のインストール: PowerShell を管理者権限で開いて以下を実行します。
wsl --installインストール後、スタートメニューから「Ubuntu」を起動するとターミナルが開きます。
プロンプトの読み方
ターミナルを開くと以下のような表示が出ます。
username@computer-name ~ %username— ログイン中のユーザー名computer-name— コンピュータの名前~— 現在いる場所(~はホームディレクトリを意味する)%または$— コマンドの入力待ち状態のサイン
2.3 基本コマンド(pwd / ls / cd)
pwd — 今どこにいるか確認する
pwd は「Print Working Directory」の略。「自分が今いる場所(ディレクトリ)」を表示します。
pwd実行結果の例:
/Users/yamadaこれは「/Users/yamada というフォルダの中にいます」という意味です。
ls — フォルダの中身を見る
ls は「List」の略。現在のフォルダに何が入っているかを一覧表示します。
ls実行結果の例:
Desktop Documents Downloads Movies Music Picturesよく使うオプション:
ls -l # 詳細情報(ファイルサイズ・更新日時など)を表示
ls -a # 隠しファイル(.から始まるファイル)も表示
ls -la # 上記2つを組み合わせるcd — フォルダを移動する
cd は「Change Directory」の略。フォルダを移動するコマンドです。
cd Documents # Documents フォルダに移動
cd .. # 1つ上のフォルダに移動
cd ~ # ホームディレクトリに戻る
cd /Users/yamada/Documents # 絶対パスで移動確認しながら移動する練習:
pwd # 現在地を確認
ls # フォルダの中身を確認
cd Documents # Documents に移動
pwd # 移動できたか確認
cd .. # 元のフォルダに戻る2.4 ディレクトリの作成と削除
mkdir — フォルダを作る
mkdir は「Make Directory」の略。新しいフォルダを作ります。
mkdir my-project # my-project フォルダを作る
mkdir -p work/2024/january # 階層ごとまとめて作る(-p オプション)rmdir / rm — フォルダ・ファイルを削除する
rmdir empty-folder # 空のフォルダを削除
rm file.txt # ファイルを削除
rm -r my-project # フォルダごと削除(-r は「中身ごと」の意味)警告: ターミナルで削除したファイルはゴミ箱に入りません。完全に消えます。rm コマンドは慎重に使いましょう。
2.5 ファイルの作成と表示
touch — 空のファイルを作る
touch hello.txt # hello.txt という空のファイルを作る
touch index.html # index.html を作るcat — ファイルの中身を表示する
cat は「Concatenate(連結)」の略ですが、ファイルの中身を表示するためによく使われます。
cat hello.txt # hello.txt の内容を画面に出力less — 長いファイルをスクロールして見る
cat は長いファイルの場合、すべてが流れてしまいます。less を使うとスクロールしながら読めます。
less long-file.txt # スクロールして読む操作キー:
j/↓— 1行下k/↑— 1行上q— 終了
echo — テキストをターミナルに出力 / ファイルに書き込む
echo "Hello, World!" # ターミナルに表示
echo "Hello" > hello.txt # ファイルに書き込む(上書き)
echo "追記内容" >> hello.txt # ファイルに追記2.6 練習問題
以下の操作をターミナルで試してみましょう。
問題 1: ホームディレクトリに training というフォルダを作り、その中に notes フォルダを作ってください。
# ヒント
mkdir training
mkdir training/notes問題 2: training/notes フォルダの中に day1.txt というファイルを作り、「今日はターミナルを学んだ」という内容を書き込んでください。
# ヒント
cd training/notes
echo "今日はターミナルを学んだ" > day1.txt
cat day1.txt問題 3: training フォルダに何が入っているか確認してください。
# ヒント
ls -l trainingまとめ
| コマンド | 意味 | よく使う例 |
|---|---|---|
pwd | 現在地を表示 | pwd |
ls | フォルダ一覧 | ls -la |
cd | フォルダ移動 | cd Documents |
mkdir | フォルダ作成 | mkdir new-folder |
rm | 削除 | rm -r folder |
touch | 空ファイル作成 | touch file.txt |
cat | ファイル内容表示 | cat file.txt |
echo | テキスト出力・書き込み | echo "text" > file.txt |
次のChapterでは、こうしたファイルやフォルダの仕組みをより深く理解する「ファイルシステム」を学びます。